カメラブログ

 趣味でカメラを触っています。カメラ関係の内容を記します。




望遠レンズの方が良くボケるのはなぜか?計算してみた

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綺麗な玉ボケ(レンズはMeyer Optik Gorlitz)

 

 背景をぼかして被写体を浮き上がらせるのは構図作りの定番テクニックです。このボケを出すには、明るい(F値の小さい)レンズか、望遠レンズを使います。

 でも、下の掲示板を読むと、望遠レンズは広角レンズよりもボケることが案外知られていないようです。そこで、望遠レンズはどれほどボケるか、詳しく解説します。

bbs.kakaku.com

 

まずは撮影条件の整理

 ボケの量を比較するにあたって、撮影条件をはっきりさせておきます。

 カメラと被写体の距離が同じで、レンズの焦点距離を変えると写る大きさが変わってしまいます。そこで、レンズの焦点距離に応じて、カメラと被写体の距離を調整して、被写体の写る大きさを一定にすることにしますf:id:kota2009:20171130195121p:plain

計算の前提条件

 

 被写体距離(カメラと被写体の距離)をs, 背景距離(被写体と背景の距離)をDfとします。焦点距離に応じて被写体距離を調整し、被写体距離÷焦点距離が一定になるようにすると、望遠レンズでも広角レンズでも同じ大きさで被写体が写ります。詳しい説明は,以下の記事を見てください

delight.hatenablog.com

 

 

焦点距離とボケ量の関係

 焦点距離とボケの大きさをグラフにしました(詳しくは上の記事と文末の計算式を見てください)。以下のように望遠レンズ(焦点距離が長いほど)はよくボケます。特に被写体と背景との距離が広いときは、焦点距離が長いほど良くボケます。

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焦点距離とボケの関係

 

被写界深度とボケ量の不思議な関係

 ネットを調べると、望遠レンズでもボケ方は変わらない、という意見を見ます。焦点距離が伸びた分、被写体との距離を延ばすとその効果が相殺されるというものです。この意見は正しいでしょうか?

 ボケの議論をするときに、被写界深度で話をする人がいます。このため、望遠レンズでもボケないという意見が出るのでしょう。被写界深度とボケ量を取り違えています。

 上の記事で書いたように、被写界深度は望遠レンズでも広角レンズとほとんど変わりません。それなのにボケ量には違いが出ます。それは、被写界深度の計算で使う許容錯乱円が滅茶苦茶小さいからです。典型的には許容錯乱円のサイズは3/1000ミリメートルとします。

 つまり、3/1000ミリメートルという小さなボケ量を前提に議論しているのが被写界深度です。この領域では焦点距離による影響は無視できるほど小さい。でも、背景ボケのような大きなボケ量の領域では、焦点距離の影響が大きくなります。

 

おまけ:イメージセンサーの大きさとボケ量 の関係

 ついでに、イメージセンサーのサイズの違いがボケ量にどれくらい効くか計算しました。下のグラフを見ると、イメージセンサーが大きいほど良くボケることが分かります。意外にAPS-Cマイクロフォーサーズの違いが少ないですね。

 

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イメージセンサーサイズ別のボケ量

 

まとめ

 レンズの焦点距離がどれくらいボケ量に効くか計算しました。被写体の写る大きさを変えない場合、望遠ほどよくボケます。また、イメージセンサー別にボケ量を比較しました。フルサイズは良くボケることが分かりました。

 

付録:計算方法

 被写体の人間をAPS-Cの横位置で高さ一杯に写す場合、被写体の身長を160cm,APS-Cの素子サイズは23mm×15mmから、その比 r=0.0093(=15/1600)。被写体距離sは、焦点距離fを用いて次のように書けます。

 \displaystyle s=\frac{r+1}{r}f

また、ボケ量δと背景距離Dfは次のように書けます。ただし、FはレンズのF値

 \displaystyle D_f=\frac{\delta F(s-f)^2}{f^2-\delta F(s-f)}

これを式変形すると以下のようになり、上のグラフが書けます。

 \displaystyle \delta=\frac{1}{F}\frac{D_f f^2}{(s-f)^2+D_f(s-f)}