記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶である。写真とカメラ関係のブログです。




暗い望遠は、明るい広角よりボケるか?


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 上のエントリでは、F値が同じ場合、望遠レンズの方(焦点距離が長いほど)が良くボケることを数値で示しました。

 では暗い(F値の大きい)望遠レンズと、明るい(F値の小さい)広角レンズではどちらがボケるのでしょうか?今回はこれについて書いていきます

 結果から書くと、

  • 被写体とその背景の距離が遠いときは、f/Fが大きいレンズほどボケる(fは焦点距離、FはF値
  • そうでないときは、一概には言えない

となります。

 

キヤノン EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM 

Canon 標準ズームレンズ EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM APS-C対応

Canon 標準ズームレンズ EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM APS-C対応

 

 

 キヤノン一眼レフカメラのキットレンズキットが、このEF-S18-55㎜F3.5-5.6 IS STMです(広角側が18mm F3.5、望遠側が55mm F5.6)。

 このボケの大きさを計算したのが以下です。望遠端は、背景距離が2.5m付近までは広角端よりボケませんが、それ以上背景距離が大きくなるとボケが大きくなります。

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EF-S18-55㎜F3.5-5.6 IS STMのボケ量

  

f:id:kota2009:20171130195121p:plain

計算の前提条件

 広角側から望遠側に焦点距離を変えると被写体が大きく写ります。上のグラフは、被写体の大きさが変わらないように焦点距離を長くしたらその分被写体距離も大きくして写す場合で書いています。

 

FUJIFILM X-T20/XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS 

 

 FUJIFILM X-T20/XF18-55mmF2.8-4 R LM OISは富士フィルムのX-T20やX-E3のレンズキットに付属するレンズです(広角側が18mm F2.8、望遠側が55mm F4)。

 このボケの大きさを計算したのが以下です。望遠端は、背景距離が1.5m付近までは広角端よりボケませんが、それ以上背景距離が大きくなるとボケが大きくなります。

f:id:kota2009:20171201215320p:plain

FUJIFILM X-T20/XF18-55mmF2.8-4 R LM OISのボケ量

計算方法

 被写体の人間をAPS-Cの横位置で高さ一杯に写す場合、被写体の身長を160cm,APS-Cの素子サイズは23mm×15mmから、その比 r=0.0093(=15/1600)。被写体距離sは、焦点距離fを用いて次のように書けます。

 \displaystyle s=\frac{r+1}{r}f

また、ボケ量δと背景距離Dfは次のように書けます。ただし、FはレンズのF値

 \displaystyle \delta=\frac{1}{F}\frac{D_f f^2}{(s-f)^2+D_f(s-f)}

上記rが一定値となるようsとfを変化させると上のグラフが書けます。

 

 さて、上の式をもう少し変形してみます。

 \displaystyle \delta=\frac{1}{F}\frac{D_f f^2}{(s-f)^2+D_f(s-f)}=\frac{f^2}{F}\frac{1}{(s-f)}\left\{1-\frac{(s-f)}{(s-f)+D_f}\right\}

 s=\frac{r+1}{r}f(rは一定)を使うと、

 \displaystyle \delta=\frac{rf}{F}\left(1-\frac{f}{f+r D_f}\right)

となります。 D_fを大きくしていくと

 \displaystyle \lim_{D_f \to \infty} \delta=\frac{rf}{F}

となります。つまり D_fの大きいところでは \frac{f}{F}が大きいほど大きくボケます。

 

まとめ

 明るい広角と暗い望遠のどちらがボケるか計算し、以下が分かりました。 

  • 被写体とその背景の距離が遠いときは、f/Fが大きいレンズほどボケる(fは焦点距離、FはF値
  • そうでないときは、一概には言えない