新宿で写真を撮ってきました。特にテーマも決めず、気になったものを撮るというスタイルで。
家に帰って写真を整理していると、新宿と言うのは様々な面のある街なのだと思いました。若者が集まる華やかなエリアがり、いかがわしい大人の集まる夜のエリアがあり、主張のある人々の集まるエリアがあり、といった具合に。
甘いものを売るお店。車を改造したであろう外観と、屋上に置いた巨大なクマのぬいぐるみ、趣向を凝らしています。しかし、この程度では新宿で目立つことはできず、通行人は店に目もくれず歩いていきます。
飲み屋の多いエリアでは、店の看板は賑やかさを増し目立って人目を引こうと競っています。
大音量の中の静寂、色彩の中のモノクローム。各店舗が派手さを競ううちに行きかう人々はそれを知覚することなく、手元のスマートフォンに意識を向けています。
夕方の早いうちから看板に灯りが入り、街は明るさを増します。その明るさによって街全体が夜が来たかのようにかえって暗く感じられていく。
思い出横丁に足を向ければ、すでに飲んでいるお父さん。観光客の多くなった思い出横丁ではありますが、ここに通う人は未だに多い。日本最大の歓楽街を支えているのは、ここが日常である普通の人々。
新宿は歓楽街だけではない。日本の首都、大東京の都庁のある場所で、行政の中心地。東京都庁の上部に取り付けられたパラボラアンテナを見ていると、電話やネットが通じない有事の際にも、行政指示を飛ばす執念のようなものを感じます。技術を集め、頭脳を集め、お金を投じて作ったお城の様に見えます。
「米帝粉砕」、このシールを作成し貼った人はどんな思いだったのでしょう?様々な政治的な主張があると思いますが、アメリカに対してこれほどの主張をする場所は、日本の中でも新宿だけではないでしょうか。
ここでも様々な主張が大きな声でなされ、互いに声の大きさを競っています。そうして、人々の耳には何も届かない。大音量の中の静寂がここにもあります。
新宿は人が多い。ただ多いだけではなく、様々な人がおりその多様性が厚い。その多様な人々は新宿に住みかがあり、そのエリアで濃さを増す。ただ住み分けるだけでなく一部が混ざり合い、混ざった部分では無関心と反発と興味を引き起こす。
いろんな人がいる街と言ってしまうと月並みだけど、いろんなの厚みが異常に厚いのが新宿なのだと思う。
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