六本木で行われたオリンパススペシャルフォーラムに行ってきました。このフォーラムはオリンパスの新製品OM-D E-M1Xのお披露目会で、他のカメラの話は全くありませんでした。このフォーラム行って良かった。ネットでは手に入らないOM-D E-M1Xの情報が得られました。
会場で分かったOM-D E-M1Xを買う人
OM-D E-M1Xを買うカスタマは、ネットに意見を書き込むような人種ではありません。よく考えれば分かった筈なのですが会場に行って確信しました。NIKONで言えばD5, CANNONで言えばEOS 1DX MarkIIといったゴリゴリに耐環境性と操作性を高めたカテゴリのカメラがOM-D E-M1Xです。
上の記事では、山岳写真を仕事として撮るプロフェッショナルにとってカメラに求めるものとして2点示しています。
- 凍結・結露の繰り返しに耐える丈夫さ
- 厚手のグローブをした手で操作できる、グリップ・ボタン類の大きさ
フォーラム会場でもモンゴルの取材を20年以上続けている清水哲郎さんが、”ゴビ砂漠に写真を撮りに行くと、細かい砂が巻き上がる環境に何日もいる。日本に帰ってきてカメラを水洗いしたくなる”と言っていました。また、ゴビ砂漠は氷点下40度の環境のようで、車から出たり入ったりするとカメラが凍結したり結露したりを繰り返しカメラにはかなりの負担がかかります。
「機動力」の本当の意味
OM-D E-M1Xのコンセプトは「機動力」。これにも深い意味がありました。それまでは、マイクフォーサーズはレンズが小さいからレンズ+カメラの合計が小さいことを「機動力」とオリンパスが言っているのだと私は思っていました。
例えばゴビ砂漠に写真を撮りに行くと、4000キロメートルを車で移動しながら撮影し、その間は町が無い場所での生活が続きます。そんな撮影旅行では、カメラが壊れることは許されません(旅費や、雇ったガイドの人件費等が無駄になりますから)。カメラをぶつけたり落としたりの環境にもカメラは耐えなければなりません。
また山岳写真の清水哲郎さんの話では、ゴビ砂漠では車で動物を探し回り写真を撮るそうで、動物をみつけたときに車のエンジンを止めると動物が逃げしまう。そのため、エンジンをかけた車の中から超望遠レンズを付けたカメラで動物を狙う。エンジンで揺れる車内からでもクリアな写真の撮れる手振れ補正が大切とのこと。これも「機動力」です。
さらに車が入れない場所(山など)で撮影旅行をする場合は、三脚も頑丈なものを持っていけません。手振れ補正の強力さが撮影旅行の行動範囲を決めます。
OM-D E-M1Xの手振れ補正について、清水さんが焦点距離840mm(35mm換算 1680mm)でシャッター速度1/13秒でも、手持ちで 撮れたと言っていたのが印象的でした。手持ちで月が撮れます。また、広角レンズで手持ちで撮った星空写真も見せてもらいました。OM-D E-M1Xは手持ち4秒で撮れる手振れ補正をもっていますから、三脚無しで星空が撮れますね。
会場の様子
会場に来ていた人は、男ばかりでした。しかも年配が目立ちます。 会場でスマートフォンを触っている人の少ないこと。ネットで情報を発信する人たちでは無いんだと実感します。
ハンズオンの感想
会場では、OM-D E-M1Xを実際に触ることができました。オリンパスの社員さんが一人ついてくれて色々話もできました。
実機を触ると、ボタンの間隔が広くて、グローブをつけてカメラを操作するとしたら、これくらいのボディの大きさは必要だと感じました。またグリップの近くにはボタン類が無いのでしっかり握りこんでも誤操作することはないでしょう。さらにダイヤル類の操作感が良くて、良い部品を使っていることがうかがえます。特にマルチセレクタはとても良い操作感でした。
まとめ
OM-D Special Forum 2019 に行ってきました。OM-D E-M1Xのターゲットユーザはプロ中のプロなんだと感じます。
あなたの周りにNIKON D5やCANNON EOS 1DX Mark IIを使っている人はいますか?OM-D E-M1Xはそういう人が使うカメラです。こういうカメラを本気で検討するユーザ層は積極的にネットに情報を上げる人たちでは無い。ネットの情報を見てOM-D E-M1Xの評判を判断すると、判断を間違う。
OM-D E-M1Xはたくさん売れるカメラではない。真のフラッグシップ機とはそういうもの。オリンパスの業績にもインパクトを与えることはない。売り上げが上がるのは普及期です。今後出てくるであろう普及機にOM-D E-M1Xの機能がどう入ってくるかが楽しみです。
オリンパスユーザの私にとって、オリンパスがカメラを止めてしまうのではないかというのが最近の懸念事項でした。オリンパスが、フラッグシップ機OM-D E-M1Xを発売したり、レンズロードマップを発表したのは、カメラ事業を継続するというメッセージでしょう。私も、安心して新しいレンズを買えます(笑)。