記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

「プロの撮り方 想像力を極める」ナショナルジオグラフィック:美しいものを探す視点を教えてくれる本

 写真を撮ることは、美しい物を見つけることと、それを上手にフレームに収めることの二つだ。

 後者について述べた本やネット記事は多い(三分割構図等)が、前者、つまりどうやって美しい物を見つけるかについて述べた本は殆ど無い。そんな中で、ナショナルジオグラフィックの本プロの撮り方シリーズ「想像力を極める」は、これについて述べた珍しい本である。 

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 創造力を極める

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 創造力を極める

  • 作者: ブライアン・ピーターソン,ナショナルジオグラフィック,デービッド・ハルバースタム(序文),関利枝子,武田正紀
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 皆と一緒に撮影をしていて、あなたが撮った写真はどれも平凡に思えるのに友人は美しい写真を撮る、そんな経験はないだろうか?同じ風景を見ているのに、どうして友人はその美しさに気づいたのか不思議に思う。それをセンスと呼ぶ人もいる。ではセンスはどうすれば身につくのだろうか?経験によりセンスは身につくとも言われる。シャッターを切った数だけ上手くなるという人がいる。それはウソだと私は思う。いつもの被写体をいつものように撮影していてもセンスは身に付かない。

 

 センスを身に付けるためには適切なトレーニングが必要だ。例えば英語を身に付けるためには、文法と語彙力をベースに、リーディングとライティング、スピーキング、リスニングのトレーニングが行う。こういったトレーニングの考え方を知らずに英語を勉強するのは辛い。外国で暮らしても、カタコトの英語しか身に付かない留学生はたくさんいる。

 

 本書では、目の前の風景から美しい物をみつける創造力(想像力でないことに注意!)を身に付けるためのトレーニングの考え方を示している。一貫しているのは、いつもと同じ視点で被写体を探していてはダメだということだ。被写体を探す視点を変えよう。では、どうやって視点を変えるか?

 色に注目するのが一つのやり方。今日は紫色しか撮らないと決めて被写体を探す。実際に私も試したが、身の回りにたくさんの紫色をみつけて驚く。いままでなんと見落としていたものが多いことか!

 

 構図の要素には、線、形、色、パターン、質感、立体感がある。自分の撮った写真50枚を見返して、何注目して撮ったものか分類しよう。大抵は、形に注目して撮った写真が多いのではなかろうか。そうであるなら、線やパターンを探して写真を撮ろう。本書ではこういった具体的なトレーニングの方法を示している。自分を振り返ると、私は質感に注目して被写体を探したことのないことに気づく。

 

まとめ

 写真を撮ることは、美しい物を見つけることと、それを上手にフレームに収めることの二つだ。本書は美しい物をみつけるセンスを身に付ける方法について示している。

 本書は、構図についての本を読んだ後に、読むと分かりやすいと思う。

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

  • 作者: リチャード・ガーベイ=ウィリアムズ,ナショナルジオグラフィック,関利枝子,武田正紀
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おまけ

 色に注目して撮った写真が以下。この本を読んでいなかったら撮っていなかったと思う。

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緑色が綺麗だったので撮った写真

 

次にパターンに注目して撮った写真。

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照明の作るパターンが綺麗だったので撮った写真

 

 新しい被写体を探すきっかけを、この本から教わった。