記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

富士フィルムX-Pro3の感想(画像あり)

 来月(2019年11月28日)に発売されるX-Pro3を使ってフォトウォークしてきました。たっぷり時間をかけて写真を撮り歩いてきました。今日はその感想を書きます。

 

 富士フィルムが本日開催したFujifest Glocal 2019東京のフォトウォークに参加しました。フォトウォークとは、X-Pro3を借りて自由に外を歩いて撮影できるものです。フォトウォークの時間は2時間。

fujifilm-x.com

 

Fujifilm X-Pro3とは、どんなカメラか?

 X-Proシリーズはスナップを撮る人に向けたカメラで、X-Pro3はシリーズ3代目。既に発売されているX-T3と同じ撮像素子と画像処理エンジンを搭載しています。

 今回のX-Pro3の特徴は

  • カメラボディの上面と下面のパーツがチタニュウム製である
  • 背面液晶を隠した
  • フィルムシミュレーションにクラシックネガが加わった。

以後、夫々について書いていきます。

 

チタニウムについて

 カメラの上面と下面のパーツに固い金属であるチタニュウムを用いており、さらにデュラテクト加工をすることで硬くしています。この硬さはビッカース硬度1000~1500Hvという滅茶苦茶の硬さ。純鉄の硬さが110Hv、強化ガラスでさえ硬さ640Hvなので、もう滅茶苦茶な硬さです。

 富士フィルムは、この硬さ故、金属の鍵でこすっても傷がつかないと言っています。

 一方、チタニウムは指の脂をはじくわけではないので、汚れは付きます。汚れの気になる人は薬品で清掃すれば綺麗になると思います。

 

 しかし、さすがに、私は試していません。フォトウォークで借り物のX-Pro3を鍵でゴリゴリこするわけにはいかないので。

 

背面液晶を隠したことについて

 X-Pro3で背面液晶を隠したことについて、Fujifestaを通じて言っていたことは、「シャッターを切った後で画像を確認している暇があったら、次のシャッター写真を探そう」でした。

 トークショーで、プロカメラマンの藤崎一郎氏は、「ポートレートでは、モデルとの会話が重要で、言葉を投げかけてモデルの表情やポーズに微妙なニュアンスを作る、刻々と変化するモデルの表情を見逃してはいけない。シャッターを切った後でもモデルの表情を見続けろ」と言っていました。

 フォトウォークを担当していただいたプロカメラマンは、「スナップ撮影ではいつシャッターチャンスがあるか分からない。過去の画像を確認している暇が有ったら次のシャッターを切れ」と言っていました。

 

 私も、フォトウォークでは、画像の確認をせずに写真を撮り続けてみました*1

 やってみると、すぐ抵抗感がなくなります。画像の確認をしない撮影スタイルは、意外にも楽しくて、次、次、次と周りを見渡し光を探すようになり、撮影に集中できます。撮影枚数が増えました。また、画像チェックせずに撮っても、失敗写真が普段より増えたということもありません。

 変な例えかもしれませんが、これは、ブレインストーミングでアイデア出しとアイデア選別を分けて行うのに似ていると思いました。普通に企画会議をすると、一つアイデアを出すと、その批評をして、次のアイデアを出して、またその批評をするというように、アイデア出しと批評を一体で行いますが、これは悪いやり方であることが分かっています。まずは、たくさんアイデアを出すことに集中し(批評禁止)、たくさんアイデアが出た後にそれらを批評する、というように2段階で行うことが、良いアイデアを得るコツです。

 写真撮影と写真チェックを分けて行うのがX-Pro3流で、まずはひたすらシャッターを切ることに集中し、ある程度シャッターを切ってから画像のチェックをする。こういうスタイルを提案されているのだと感じました。

 

新しいフィルムシミュレーション クラシックネガはどうか?

 今回、ほぼすべてをクラシックネガで撮りました。撮れた写真は、どこか懐かしい印象の絵になります。分かりやすく言えば、昭和感のある写真になります。

 クラシックネガで撮影した写真を貼ります。使用レンズはXF35mmF2 R WR。JPEG撮って出しのデータを、データサイズ削減のためリサイズしている以外は画像処理をしていません。

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1/250秒 f/4.0 ISO 1600

 葉の緑の色が綺麗です。また、手前の葉の明暗差の絵作りも綺麗。

 

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1/250秒 f/4.0 ISO 400

ただ道路をパシャっと撮っただけなのに、古い懐かしい風景のような絵になっています。

 

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1/60秒 f/3.2 ISO 160

神社の絵馬を撮るとピッタリはまる色です。

 

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1/60秒 f/4.0 ISO 160

 人の群衆の写真は、普通つまらない絵になるのですが、クラシックネガだと雰囲気のある写真になります。不思議ですね。

 

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1/60秒 f/4.0 ISO 640

 駄菓子屋を撮ると、昭和感がハンパないです。

 

 さて、比較のために標準色のProviaと比べてみます*2。上がProvia、下がクラシックネガです。

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上:Provia、下:クラシックネガ

 植物の緑の色や黒色は大きく違います。それなのに、人間の肌の色はあまり違いがありません。面白いですね。

 

まとめ

  来月発売のFujifilm X-Pro3で写真を撮ってきました。

  • チタニウムのボディは固そう。でもさすがに本当に傷がつかないか試す勇気はなかった。 
  • 隠れた背面液晶に意外に違和感は無く、画像チェックに気が散らないため、シャッターチャンスを探す作業に集中できた。
  • 新しく加わったクラシックネガは、どこか懐かしい印象の写真に仕上がる。人の肌の色は綺麗な色のままなのには驚き。

 

 X-Pro3はスナップ写真に尖ったカメラ。風景写真や鳥写真には合わないと思いますが、スナップ写真を撮る人はX-Pro3を試す価値があると思います。

*1:X-Pro3の液晶を開けば、いつでも画像の確認はできるが、それを我慢した。

*2:フィルムシミュレーションブラケットで撮りました。