渋谷Bunkamuraで開催されているソール・ライター写真展に行ってきました。
彼は、アメリカの写真家で1923年生まれ、白黒写真全盛の頃にカラー写真を撮っていた人です。もちろんフィルム写真。
彼の写真は独特で、彼が画家でもあったせいでしょうか、解像感にはこだわらない画作りで、油絵のざっくりとした筆遣いを思い起こさせます。また、展示会場の説明文の中に「のぞき見的作風」と書いてありましたが、写真のごく一部だけに被写体の写っている構図が多い。そして、レンズは中望遠を使っているようです。
彼は、自宅の近所をずっと撮っていたようです。彼の写真には特別な被写体は何も写っておらず、街のありふれた人や車が写っており、彼の有名な言葉を思い起こします。
何も地球の裏側まで行かなくったって被写体は周りに溢れている
写真展に行くと、その人の真似をしたくなります。彼の写真の特徴を列挙すると
- 中望遠レンズを使って街を切り取る
- 雨滴のついたガラス越しに写す、あるいはガラスのリフレクションを写しこむ
- 帽子や傘を持った人を写す
- 上から俯瞰で撮る
こんな感じでしょうか。
写真を撮る人には嬉しい展示もあります。コンタクトプリント(フィルムの複数のコマを一枚の印画紙に並べて焼いたもの)も展示されており、これを見ると、ソウル・ライターが、同じ場所で何枚シャッターを切ったか分かります。このコンタクトプリントを見ていると、雨の交差点で何枚もシャッターを切りながら構図を探っていた様子が分かります。私も、もう少し同じ場所で粘ってみようと思いました。
コンタクトプリントは、展示会の本(永遠のソール・ライター)にも掲載されていたので、購入して家でも眺めています。
最後に、彼の言葉を紹介しておきます。
人間の背中は正面よりも多くのものを私に語ってくれる。
雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い。
まとめ
渋谷Bunkamuraで開催のソール・ライター写真展を観てきました。
ソール・ライターの写真は、かなり独特で、ありふれた被写体を解像感など画質を気にせずに撮ったものが多い。画家でもあったためか、画面全体のバランスが素晴らしい。写真とは、時々刻々変わる風景の中で、美しい瞬間を選んで撮るものだということを教えられた気がする。
最後に彼の言葉を引用します。私はこの言葉の中で「時折」という部分が好きです。
写真家からの贈り物は、日常で見逃がされている美を時折提示することだ。
おまけ
展示会場では、今回の展示写真をまとめた写真集が売っていたので、これも買いました。構図の良い勉強になりますし、コンタクトプリントを眺めていると彼の撮影の様子が分かって面白い。