記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

コンパクトデジカメはなぜボケにくいか?どれくらいボケにくいか?

 コンパクトデジカメはボケないとよく言われる。それって何故だろう?そしてどれくらいボケないのだろう?

 

ピントが合ってしまう距離

 ボケとはピントが合っていない範囲のことである。これに関連して、ピントが合ってしまう範囲について別エントリに書いた。 

delight.hatenablog.com

 

ピントが丁度あった被写体とカメラの距離をsとしたとき、被写体の後ろ D_fの距離はピントが合ってしまう。

 \displaystyle D_f = \frac{\delta F (s-f)^2}{f^2-\delta F(s-f)}

ここで、

  •  s:ピントが丁度ぴったり合うレンズとの距離
  •  D_n被写界深度のレンズに近い側の長さ
  •  D_f被写界深度のレンズから遠い側の長さ
  •  \delta:撮像素子上でのボヤーっと広がったボケの半径
  •  f焦点距離
  •  F:レンズのF値

 fはsに比べてずっと小さいことから s-f \approx sと近似でき、上式は次のように書ける。

 \displaystyle D_f \approx \frac{\delta F s^2}{f^2-\delta Fs}

つまり、焦点距離fが小さいほどピントが合ってしまう範囲が広くなる。

 

コンパクトデジカメは焦点距離が短い

 デジタル一眼カメラと比べ、コンパクトデジカメの焦点距離は小さい。例を示す。

カメラ 焦点距離 撮像素子サイズ
サイバーショット DSC-RX100M5(ソニー f=8.8-25.7mm 1インチ
COOLPIX A100(ニコン) f=4.6-23.0mm 1/2.3
iPhone X(apple) f=6mm  

 

本体のサイズを小さくするため焦点距離fを小さくせざる得ないのだ。そして、上で述べたように焦点距離が小さいとピントが合ってしまう範囲が広くなる。こうしてコンパクトデジカメは、ボケにくいというわけだ。

 

 コンパクトデジカメもボケるとメーカーは言うが

 新しい製品が出るたびにメーカーは、今度のカメラはレンズが明るくてボケると言い続けている。しかしその作例にはある共通点がある。どれもが、小さな被写体をアップで写している。

 例えば以下のようなものばかり。これも上の式でわかるように被写体との距離sが小さくなるほど、ピントが合ってしまう範囲が狭くなるためだ。

 

 

 

でも、下のような離れた被写体でもボカしたいよね。これはコンパクトデジカメではちょっと無理。

 

 

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参考資料