記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

鮮やかな桜と、美女

  記録色と記憶色。人間は見たままの色を記憶するのではなく、対象物のイメージによって記憶を改ざんする。“桜”というイメージ(記号)はピンク色で、それゆえ桜の花を想像するとき桃の花のような濃いピンク色が頭に浮かぶ。実際のソメイヨシノの花の色は白色に近いため、忠実にその花の色を記録すると、その色を見たとき人はがっかりする。

   桜の花の色は、人の頭の中にしかない。その色に合わせて桜の花の写真を色補正していくと、現実には存在しない花色になる。一方、ものごとはエスカレートする。鮮やかなピンク色の桜の写真を見た人は、もっと濃いピンク色として桜を記憶する。次の年からは写真の色補正を強くしなければいけなくなる。

  桜の花の色が人の頭の中にしかないとするなら、その人に合わせた花色を表現するのは白黒写真でしのみ不可能なのだと思う。情報の欠落を観る側に埋めてもらう。写真は、その人がイメージを喚起するきっかけとなればよい。

f:id:kota2009:20190331125642j:image

 

  上は、週末に目黒川で撮ったものです。東京有数の桜の名所だけあって見物客で大混雑でした。モノクロ写真は見る人のイメージを喚起するものでありたいと思うと、随分と難しい分野です。

 

使用機材

NIKON D90