記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

正常進化にハマった袋小路をどう抜けるか?

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 デジタルカメラの市場縮小が止まらない。

 昨年は、ミラーレスフルサイズ機の投入でマニアの間では活況だった。ニコンのZマウント機、キヤノンのEOS R、パナソニックのLマウント機など。それでも、カメラ市場は昨年の7割に減りそうだ(販売台数ベース)。

 

 ”正常進化”。カメラの新製品が出る度に持ち出されるこの言葉は、画素数が上がって、ISO感度が上がって、連射速度が上がる、そんな分かり易い軸で性能が上がることを表す。分かり易いがゆえに、ユーザも安心して新製品を買うことができた。

 しかし、やがて正常進化は袋小路に迷い込んだ。それがユーザベネフィットにつながらない。

 

 必要なのは”突然変異"。

 富士フィルムのX-Pro3は背面液晶を隠すというある種異常な進化をさせた。RICOHのThetaは360度カメラという方向に進化した。このような突然変異が必要だ。大抵の突然変異体は生き残らない。多くの突然変異が出ることで新たな進化の道が開かれる。

 突然変異を生み出すのはメーカだが、突然変異を育てるのはユーザだ。正常進化に慣れて冒険しなくなったユーザは、進化の袋小路にデジカメを誘い込んだ共犯者だ。自分にとって必要なものと不要なものを見極める目が必要だが、この見極めには無駄足を踏む覚悟が必要だ。試したことの無いものは一見不要に見える。自分のスタイルを変化させ新たなものを試す、試した結果で良い悪いが見えてくる。

 

 スマートフォンも進化の袋小路にハマっている。

 スマートフォンの市場はもう飽和しており、ピークアウトに向かっている(総務省「情報通信白書29年版」より)。それでも、Apple, Samusung, Huwaeiなどスマートフォンメーカはカメラの”正常進化”に頼ってスマホを売ろうとしている。このままでは遅かれ早かれ、スマートフォンもデジカメの道をたどるだろう。 スマートフォンにも”突然変異”が必要なのだ。

 

 分かり易い正常進化に慣れ切ったユーザには、突然変異の良さは分かりづらい。絶対的な正しさがそこには無いからだ。僕には合っているが、君には合わない、そんな賛否両論の中で意思を決めていくことになろう。