記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

結婚式の撮り方:絶対撮っておきたい瞬間と鉄板構図

 最近、立て続けに結婚式に呼ばれ、そこでたくさんの写真を撮ってきました。結婚式での撮影のコツを事前に調べてはいたのですが、実際現場で撮ってみるとうまくいかないこともありましたが、またすぐ後に別の結婚式に呼ばれ、うまくいかなかったことを改善し徐々に撮影のコツが分かってきました。そこで、私なりに思う所をまとめてみます。

 実は、結婚式や披露宴で写真を撮るにあたり一番大切なのは、自分の役割を認識することです。大まかには、以下の2種類があります。

  •  新郎・新婦から結婚式&披露宴のメインカメラマンとして撮影を頼まれた
  •  プロのカメラマンが別途存在するが、あなたは自分の趣味として良い写真を撮りたいと思っている 

 もし前者の場合、あなたは十分なスキルを持っている筈です。おさらいとして、事前に「デジタルフォト達人への道 1」を読んでおくとよいでしょう。

 一方、あなたが後者であるならば、まず、式進行を理解するとともに、新郎・新婦が頼んだプロのカメラマンの邪魔をしないことを意識しましょう。以下、後者の人に向けて書きます。

 

プロのカメラマンの邪魔をしない

 なんだかんだ言っても、新郎・新婦の頼んだプロカメラマンは良い仕事をします。あなたは、新郎・新婦の頼んだプロのカメラマンがベストな写真を撮れるように気を配るのが良いでしょう。

 

カメラ機材

 コンパクトカメラで結婚式の撮影はかなり難しいです。スマートフォンは論外です。できれば、デジタル一眼カメラを持っていきましょう。レンズは、望遠レンズ(200mmくらい)と広角レンズ(20mmくらい)の両方があると完璧です。特に広角レンズがあると他の人とは違う写真を撮れて喜ばれると思います。

 カメラの設定は、ISO感度を高く設定しましょう。披露宴会場は暗いため、オートで撮影すると手ブレ、被写体ブレが起きやすい。ISOを高く設定すると写真にノイズが載りますが、ノイズはRAW現像ソフトで消せます。しかし、ブレた写真は失敗写真にしかなりません。シャッター速度は1/100秒は欲しいところです。1/100秒のシャッター速度を得ようとするとISO感度は1600から3200に設定することになると思います。

 カメラの内蔵フラッシュを使うのはやめましょう。内蔵フラッシュで撮影した写真は、顔がテカった写真になり、後で新郎新婦に嫌われます。オートで撮影していると勝手にフラッシュが発光しますので、発光禁止に設定しておきましょう。

 フラッシュを使うのであれば、外付けフラッシュを使って天井(あるいは壁や床)にバウンズさせましょう。ただし、バウンズさせる天井が白いことが条件です。バウンズフラッシュは決まれば効果的なのですが、結婚式ではなかなか難しいので、フラッシュなしで高ISO設定での撮影が私のお勧めです。

 

式進行を理解しましょう

 結婚式の式進行は大体決まっています。典型的には、

  1. 来賓者の結婚式場到着と待合室での談笑
  2. 来賓者の受付
  3. 来賓者の入場
  4. 新郎新婦入場
  5. 来賓あいさつ
  6. 乾杯のあいさつ
  7. 新婦お色直しにむけて退場
  8. 新郎の退場
  9. 新郎新婦再入場とキャンドルサービス(各テーブルへの挨拶)
  10. ケーキカット
  11. 友人挨拶&余興
  12. ご両親挨拶
  13. 新郎挨拶
  14. 来賓者の退場

其々の場面で、新郎新婦、ご両親、来賓者の良い顔を選びましょう。

 

 ご両親の写真

 ご両親の写真をまじめに撮る人が少ないせいか、ご両親の写真を上手に撮ると非常に喜ばれます。狙い目は、会社上司のスピーチの際に、ご両親を狙うと良い表情を撮れる時が多いです。

 この際に、アップの写真と引いた写真の2種類を撮っておくのがコツです。

 

来客の良い笑顔

 君の撮る写真はプロのカメラマンと比べられます。ケーキカットの写真や乾杯の写真を普通に撮っていていてはプロのカメラマンに勝るのは難しい。あなたがプロのカメラマンと比べて優れているのは、あなたが新郎・新婦の知り合いであるという、そのただ一点だけです。積極的に新郎・新婦に声を掛けて良い表情を引き出しましょう。

 

テクニック

 ここでは、細かいけれど重要なテクニックを説明します。これらを意識すると、ぐっと出来上がりのよい写真が撮れると思います。

待合室での談笑風景

 式が始まる前の待合室で談笑する人々を撮りましょう。自分が会話に参加している暇はありません、ここはシャッターチャンスの宝庫です。また、待合室に来賓が到着する時間は、新郎新婦が衣装の着付けが終わったころで、プロのカメラマンはその新郎新婦の写真を撮っていますので、待合室の風景を撮れません。待合室を撮れるのは私たち来賓者だけです。

 待合室に到着した人は、まず中を見渡して知り合いを探します。知り合いをみつけた瞬間の表情を狙いましょう。また、みつけられた知り合いも撮影しておきます。

 新郎新婦入場時の参加者の表情

 披露宴会場に入りしばらくすると、新郎新婦が入場します。そのとき、新郎新婦だけではなく会場の様子も撮影しましょう。皆が良い顔で新郎新婦を見つめていますよ。シャッターチャンスです。

ケーキカットされる前のケーキ

 新婦がお色直しに席を外したときが、ケーキを撮影するチャンスです。カットされる前の美しいケーキをしっかり撮影しましょう。ケーキカットの後ではケーキが崩れてしまいます。

 できれば、ケーキにピントを合わせて、背景に友人と談笑する新郎をボカせていれておくと、より結婚式らしい構図になります。

崩れる前の綺麗なケーキも是非撮っておきましょう

ケーキカットの手元

 ケーキカットは披露宴の見せ場です。お二人の表情だけでなく、様々なものを撮りましょう。特にお勧めなのは、ケーキカットする二人の手元です。

 ブーケ

 新婦が手に持っているブーケもしっかり撮っておきましょう。

披露宴後の会場

 披露宴が終わったら、一番最後に会場を後にしましょう。忙しく動き回るスタッフさんの様子を撮影します。また、新郎新婦の席を皿が片付いた後に撮影しておきます。

集合写真

 披露宴が終わり適当に場がくだけると、新郎新婦を交えての集合写真を撮ると思います。ここにもコツがあります。新郎新婦を真ん中に人が一直線に並ぶ構図は避けましょう。とても平凡な写真になります。そうではなく、来客者が新郎新婦を中心に囲むようにすると、親密な感じが出て喜ばれます。

横に人が並んだ平凡な構図

親密な人に囲まれて幸せな様子が表現できる構図(中心の薄紫の人を新郎新婦だと思って見てください)

カットの工夫

 様々な角度から写真を撮りましょう。少なくとも次のカットを撮りましょう。

  • アップ。思い切ったアップを撮りましょう。頭の上の方は切れても構いません。目と口が大きく写るように大胆にアップにしたカットをとりましょう。
  • バストアップ。胸から頭までのカットを撮りましょう。
  • 全身。なるべく全身が写るよう引いたカットを撮りましょう。
  • 下から。子供の目線になって下から撮ってみましょう。出来上がった写真は随分感じが変わります。

カメラの設定

 結婚式の撮り方については、「デジタルフォト達人への道」にもよくまとまっている。

カメラの設定に関しては、新郎新婦やご友人をポートレートとして撮ると考えると、定番の設定は、

  • レンズの焦点距離は85mm〜100mm
  • F値は11
  • 三脚を使わず手持ちで撮るとするとシャッター速度は1/100以上

 結婚式場や披露宴会場は結構暗いのでISO感度を上げる必要があります。高感度撮影に強いデジカメを持っていくのが良いでしょう。また式場内は照明に色がついていますので、ホワイトバランスを手動で設定しておきましょう。

RAW現像

 結婚式の撮影はなるべくRAWで撮るのが良い。RAW現像の考え方については別エントリを参照ください。アプリで今風に加工するのも良いですが、5年たつと古臭くなるのでナチュラルな仕上げた写真も作っておくのが大切です。