記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

「プロの撮り方 構図の法則」:何度も読み返せる名著

プロの撮り方 構図の法則

 

 "すぐに役に立つものはすぐ使えなくなる"、 認めなくはないのだけれど真実だと思う。本当に大事なことは、理解するのに時間がかかるし、それを身に付けるにはもっと時間がかかる。

 この「プロの撮り方 構図の法則」に書いてあることは、そういうことだ。すぐには分からないし、身に付けるには練習が必要だ。

 コロナ禍で家にいる時間が多いこともあり、この本を読み返している。さすが名著だけあって、読み返すたびに発見がある。

 

 例えば、3分割構図。構図の基本であるし、すぐ身に付く。

 下の写真は、その典型例。画面を3分割する場所に被写体を配置し、被写体の視線の向く方向を大きく開けている。基本通りの撮り方。

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3分割構図

 

 この3分割構図って、写真の初心者を脱した直後の初中級者の撮り方だ。

 中級者までレベルアップするには、3分割構図以上のテクニックが必要だ。その秘訣は、二つの要素間の関係を考える事。

 例えば、上の写真では、被写体は女性だけなので、要素は一つ。そういう意味でシンプルな写真だ。でも、要素を二つにすることで写真に複雑さやストーリー性が備わる。

 二つの要素を考える切り口の一つが「ビジュアルウエイト」。

 下の写真では、女性が主題。そして、左右のバランスを取るために、画面左の黄色いメジャーを写し込んでいる。黄色い色は目を引くのでその分ビジュアルウエイトが重い。これによって、左右のバランスをとっている。

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ビジュアルウエイト

 

 複数の要素の相互作用を活用する方法として、ビジュアルウエイト以外にもリーディングラインがある。

 下の写真は、手前の黄色と奥の桜のピンクで奥行きを出している。さらに、道路の白線が奥に続き、赤い自動車へと続くリーディングラインとなることで、一層奥行き感を強調している。

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リーディングライン

 

 また、要素間の対称性も、強い写真を撮影するポイント。

 下の写真は、左にこちらを向く顔があり、右に向こうを向く後ろ姿がある、対比を撮っている。対比を明確にするために、左と右の面積比を1対1にしている。

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手前と向こうの対比

 

まとめ

 ”すぐに役立つものはすぐ使えなくなる”。「プロの撮り方 構図の法則」に載っているテクニックは、理解に時間はかかるし、身に付けるにも練習が必要だけれど、永く使えるものだ。繰り返し読むに値する本だ。

 例えば、ビジュアルウエイトだったり、リーディンライン、対比のように。複数の要素の相互作用を利用する上級テクニックが載っている。