写真のデータが失くなるのは悲しい。失くさないようにするには、バックアップをとるしかない。
上手くやると、安く高速にバックアップをとることができる。この記事は、そのためのバックアップのとり方の考え方を書いておく。
リスク分析
どんな時にデータを失くすか列挙すると
- 機器(スマートフォン、パソコン、ハードディスク)が故障したとき
- クラウドサービスが使えなくなったとき
機器の故障の仕方には3通りある
- 機器の中の記憶装置(例えばHDD)の故障
- 機器全体の故障(例えば、パソコンが燃えた、スマートフォンが水没した)
- 機器の設置場所に災害(例えば、家が火災に遇った)
バックアップ手段
バックアップデータをどこに置くか、その手段を列挙する。
- 機器内の別記憶装置
- 機器外の記憶装置
- ローカルネットワーク(例えばホームネットワーク)の記憶装置
- クラウド上の記憶装置
これらを、データ転送速度とコストの観点で比較すると次のようになる(比較の詳細は付録を参照)。
データ転送速度 | コスト | |
---|---|---|
機器内の記憶装置 | 〇 | 〇 |
ローカルネット上の記憶装置 | △ | 〇 |
クラウド上の記憶装置 | × | × |
このように、機器内にもう一つ記憶装置を置いてそこにバックアップデータを記憶するのが、データ転送速度とコストの点からも一番有利だ。
しかしながら、機器自体を水没させた等に備えて、バックアップデータは物理的に離しておくことが望ましい。
バックアップシステム
このように考えると、データの重要度に応じてバックアップの置き場所を変えるのが最適だとわかる。つまり、データをその重要性を高・中・低の3段階に分けて、次のように置くことになる。
データ重要度 | |
---|---|
機器内の記憶装置 | 高+中+低 |
ローカルネット上の記憶装置 | 高+中 |
クラウド上の記憶装置 | 高 |
まとめ
家族や友人の写真のように、失くしたくないデータがスマートフォンやパソコンの中にある。機器は必ずいつか壊れるので、バックアップをとっておくのが大切だ。そこで、バックアップの考え方をまとめた。
試算してみると、クラウド上にバックアップデータを置くのは高価であることが分かった。機器が水没したなどで壊れてしまう事故に備えてNASでもバックアップをとっておくのが良い。
付録
機器内の記憶装置にHDDを使うとして、そのデータ転送速度とコストを次のように試算した。
- データ転送速度:SATA6を使うとして、その転送速度6Gbps
- コスト:8TBのHDDの値段を1万2千円、これが24か月で壊れると考えると、
1ヵ月あたりの1TBコストは63円(=12,000/24/8)
ローカルネット上の記憶装置にHDDを使ったNASを津克として、次のように試算した。ただし、NAS本体のコストは無視した。
- データ転送速度:1ギガイーサネットを使うとして、その転送速度1Gbps
- コスト:上記の機器内の記憶装置と同じ
クラウド上の記憶装置にAmazon S3 Glacier Deep Archiveを使うとして
- データ転送速度:10Mbps(私のインターネット環境の概算値)
- コスト:1ヵ月あたりの1TBコストは120円(1US$=120円として計算)