記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

東京の空

 新宿の空をふと見上げたら、高村光太郎の「あどけない話」が浮かんだ。智恵子抄が出版されたのが1947年、70年以上前のことだ。70年経っても人の心に残っている、なんて強い詩なんだろう。

智恵子は東京に空が無いという
ほんとの空が見たいという
私は驚いて空を見る
桜若葉の間に在るのは
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ
智恵子は遠くを見ながら言う
阿多多羅山の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとの空だという
あどけない空の話である。

 (高村光太郎「あどけない話」、詩集『智恵子抄』より)

f:id:kota2009:20190216160154j:plain

都会の空


  RICOH GR Digital3を持って新宿を散歩していたとき、ふとGR3を真上に向けたらどうなるだろうか?と思い立ち、撮ったのが上の写真です。新宿はビルが高いため、焦点距離28mmで空を撮るといくつものビルが写りこみます。

 この写真を撮ってから新宿駅に向かう間、なんども「あどけない話」を反芻していました。

  

使用機材

RICOH GR Digital3

お題「カメラ」