記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

写真撮りが使ったファイル復元ソフトRecoverFox AIの感想

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はじめに

 写真を趣味にしている人は皆、写真データをなくさないようにバックアップに気を使っています。私も、パソコン・NAS・クラウドストレージにバックアップをとっています。それでもなお、写真データを失ってしまうことはあります。本記事は、そうした「万一」に備えたい方に向けた、ファイル復元ソフト「RecoveryFox AI」のレビューです。

 

写真データを失いやすい代表例

  • 誤消去: カメラでSDカードのデータを誤って削除してしまったとき。
  • 誤フォーマット: カメラでSDカードを誤ってフォーマットしてしまったとき。
  • メディア不具合: SDカードが壊れたとき。(最近のカメラは連写用バッファが大きく、撮影終了後もしばらくSDカードへの書き込みが続きます。これに気づかずにカードを抜き、破損させてしまったことがあります。)

 こうした場面で重宝するのが、ファイル復元ソフトです。今回は「Recovery Fox AI」を実際に使用し、その使用感を記します。

 

ファイル復元ソフトの原理(整理)

 一般にファイル復元の仕組みは、大きく次の二つに分かれます。

  • メタデータ解析による復元:
    誤消去に対して有効です。削除後も「どのクラスタにファイルがあったか」という管理情報(メタデータ)が残っている場合、その情報を使ってデータ本体を読み出し、ファイルを復活させます。実行時間が短く、成功率も非常に高いのが特徴です。
  • 生データ解析(シグネチャ解析)による復元:
    誤フォーマットや、メディア不具合の場合に有効です。メタデータが失われているため、メディア上の生データを読み取り、ファイル形式ごとの特徴(ヘッダー/フッターや内部構造)を手がかりに再構築します。一般に、実行時間が長く、成功率はメタデータ解析より低くなりがちです。

 

RecoveryFox AIの特徴

 生データ解析では、ファイル形式ごとに詳細な特徴を理解していることが成功率を左右します。例えばRAWはメーカーによって形式が異なり、キヤノン(CRW/CR2/CR3)、ソニー(ARW)、富士フイルム(RAF)、ニコン(NEF)などがあります。

 RecoveryFox AIは、こうしたRAWを含む多様なファイル形式への対応が広く、形式ごとの特徴を活用することで復元精度の向上が期待できます。

 

使い方

 使い方は簡単です。アプリを起動し、復元したいデータのドライブを選びます。スキャン後、復元可能なファイルが一覧表示されるので、必要なものを選択して復元します。使い方を丁寧に説明した動画も公開されています。
 本ソフトでは、二つの解析方法に以下の名称が付けられており、直感的で分かりやすい。

  • クイックスキャン: メタデータ解析を行います。
  • AIスキャン: 生データ解析を行います。

 クイックスキャンの後にAIスキャンが自動実行されますが、AIスキャンは任意のタイミングで停止・再開・キャンセルが可能です。

 

実際に使った感想(良かった点/気になった点)

 良かった点は次の3点です。

  • 良かった点1(成功率): AIスキャンの成功率が高いと感じました。クイックフォーマット後でも、ほぼ100%に近い精度でファイルを復元できました。
  • 良かった点2(柔軟なスキャン制御): AIスキャンは停止・再開・キャンセルが可能です。処理時間が比較的長いため、必要なファイルが見つかった時点でキャンセルし、時間を節約できます。
  • 良かった点3(プレビュー機能): プレビューがあるため、メタデータ解析で見つからないファイルでも、AIスキャン途中に目的の写真が見つかったかを確認できます。

便利なプレビュー機能(RecoveryFox AIのホームページより転載)



 

 気になった点も記します。

  • 気になった点(所要時間): AIスキャンには時間がかかります。4GBのSDカードでは最長10分程度、空き領域が大きいほど時間が伸びる傾向があります。256GBのSSDでは、AIスキャンに9時間以上かかりました。必要なファイルが見つかった段階で停止・再開を活用すると良いと思います。

 

まとめ

 RecoveryFox AIは、生データ解析(AIスキャン)により、メタデータが壊れた場合でも復元できる点が頼もしいです。また、メーカーごとに異なるRAWフォーマットへの広範な対応は、写真データを守りたい方にとって心強いと感じました。

 

補足1:試した事項(検証メモ)

気の向くまま様々なパターンを試しましたが、その中でも主な確認パターンを残しておきます。

  1. 削除→復元: USBメモリーに富士フイルムのRAFとJPEGを格納し、PC上で削除後に本ソフトで復元できることを確認しました。
  2. クイックフォーマット→復元: USBメモリーをPC上でクイックフォーマットし、RAF/JPEGの復元を確認しました。
  3. フルフォーマット→不可: クイックでなくフルフォーマット後は、復元できないことを確認しました。
  4. カメラ削除→復元: デジタルカメラにてRAW/JPEGで撮影し、カメラ側で削除後に復元できることを確認しました。
  5. カメラフォーマット→復元: デジタルカメラでSDカードをフォーマット後、復元できることを確認しました。

 

補足2:他ソフトとの比較(調査所感)

 以下のソフトのホームページを調査したところ、いずれもメタデータ解析と生データ解析の両機能を備えているようでした。メタデータ解析の基本性能差は小さく、生データ解析で得意なファイル形式に違いがある印象です。写真データ復元を強く訴求しているのは、Recovery Fox AIが際立っていました。

  • AOMEI FastRecovery
  • Recoverit(Wondershare)
  • Stellar Data Recovery
  • EaseUS Data Recovery Wizard

 

補足3:WonderFox社について

RecoveryFox AIを開発・販売するWonderFox社は、2009年設立のマルチメディアソフトウェア企業で、動画・音声の変換や動画編集ツールの開発・販売を行っています。中国・四川省成都市を拠点としており、映像・音声処理の知見からファイル復元ソフトの開発にも技術的親和性が高いと感じます。なお、成都市は国家級のハイテク産業開発区を擁し、IT企業の集積が進む地域として知られています。EaseUSを開発・販売する企業も、同地域を拠点としています

 

補足4:メタデータ解析のイメージ的な説明

 TVドラマ「ミステリーと言う勿れ」では、数字の羅列「42-2-12 100-3-9…」が「ページ番号―行番号―文字番号」を意味する“書籍暗号”として描かれました。私は写真データを失くしたとき、この書籍暗号を思い出します。SDカードやHDD/SSDの読み書きは、構造的にそれに似ているからです。

 例えば「001.jpg 2-30 50-10」という情報があれば、“001.jpg”というファイルは「2番目から30個のデータ」と「5番目から10個のデータ」で構成される、という意味合いになります。これがメタデータに相当します。削除時にはメタデータに「無効」の印が付くだけで、メタデータやデータ本体は直ちには消えません。メタデータ解析は、この“無効”印の付いたメタデータを使って、データ復元を試みます。