廃都市は見向きもされない。そこにあっても無いのと同じかもしれない。ちがう。他人の視線で存在と価値を決められない。
対比するものを画面内に置くのは、構図を作る際の基本です。写真奥の古びた建物と手前の人物のいる空間を対比させています。奥の建物は青っぽく仕上げ、手前の空間にはオレンジの光を置いています。
以下ネタばらしです。
場所探し
撮影場所は、渋谷ストリーム。今年できた綺麗な商業施設ですが、この横には古いビルが並んでおり、面白いコントラスを作っています。どう撮るとこのコントラストがより印象的に写るか考えるのがスナップの楽しい所。
最初は、屋外から左に古いビル右に新しい渋谷ストリームという配置で撮ってみました(下の写真)。これでもまぁ面白いのですが、きっとこの風景は他のみんなも撮るでしょうからもう少し探すことにしました。
特にアイデアもなく渋谷ストリームの中を歩いていると、中から外の古いビルが見えることに気づきました。隣の古いビルの最も古そうな部分が見える場所を探して撮ったのが上の写真です。
色遊び
実のところ、素の画像はインパクトの無い不出来な写真ですが、色遊びをしていると上の写真ができあがりました。
色遊びとは私が勝手に作った言葉です。レタッチソフトで色を変えていると、自分の好きな色が見つかって面白いので、敢えて「遊び」としています。コツとしては、思い切り色を変えること。極端に変化を付けると、ゲッと思う仕上がりになることが多いですが、その中にアリかなっと思えるものを見つけると、楽しいことが多いです。
色を変えるときは、ホワイトバランスをいじることが多いです。ホワイトバランスをいじると、画面全体を青、オレンジ、ミドリ、マゼンタに変えていくことができます。
こうやって遊んでいると、古いビルは青が好き、手前の人がいる部分はオレンジが好きと分かってきました。あとは、これを両立させるだけです。Lightroomでは、写真の明るい部分だけ色を変えることができます(明暗所別色補正という機能です)ので、これを使って、明るく写った古いビルに青を加えてみます。
手前の人がいる部分だけをオレンジにするために、Lightroomの色別の補正機能をつかいました。たまたま床がオレンジ色だったため、これを強くしました。
色はこんなものかなと思ったのですが、もともと古いビルを撮ったつもりなのにこうしてみるとそれが目立っていません。手前のオレンジ色が目立ち過ぎです。そこで奥のビルを明るくしてみました。明るい部分の輝度を上げるやつ(トーンカーブ)で処理します。そうやって出来上がったのが完成写真です。完成写真に仕上げる際に、色や明るさを減らしていくのがコツです。最初にやりすぎくらいに大きく変えたのと逆に、自分の好きな部分が消えてしまうギリギリまで減らしていくと丁度良く仕上がります。
まとめ
構図を作る定番は、コントラスを付けること。古いものと新しいもの、青いものと赤いものなど。
レタッチで色をいじるのが好きなので、遊んでいます。手順は以下の通り。
- 最初はホワイトバランスで、大きく色を変える。
- 大きく変える中で好きな色をみつける、大抵はこの部分は青が好きだけど、別の部分は違う色が良いといった場所によって好みの色が違う。
- 好きな部分に好きな色をつけていく。その際には明暗所別補正や色別補正が使いやすい。
- 明るさを整える
- この段階ではやりすぎなことが多いので、色や明るさの変更量を減らしていく。自分が好きと思う色がギリギリ残るくらいまで減らすと、うまくいくことが多い。
写真を撮るのは楽しい。色遊びも楽しい。私はLightroomを使っていますが、ソフトは何を使ってもできるので、あなたもやってみてはいかがでしょう?
使用機材
NIKON D90
Nikon 単焦点レンズ AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G