記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

雑誌Penの最新号(2020/9/1号)「21世紀・写真論」が良かった

 カルチャーの雑誌Penの今月号のテーマは、写真。表紙のデザインが気に入って、即買いしました。大きい字で「Pen」、「21世紀写真論」、荒廃した土地・さまよう人・壁に描かれた象の写真。カッコいい。全体的にモノクロの色使い。「Pen」のフォントが丸いのに「21世紀写真論」フォントが角ばっているのに調和がとれているのもセンスが良い。

 

 中は、写真がたくさんあって文字少なめで良い。撮影者は、巨匠とまではいかないけれど、21世紀(つまりここ20年)に写真を発表した大御所の写真が多数紹介されています。「GENESIS」のセバスチャン・サルガドも載っています(ペンギンの群れの手前で2頭のアザラシが振り返っている写真で有名な人です)。

 

 今どき、写真なんてネットでいくらでも見ることはできるのですが、それらはTwitterやLINEで発せられるメッセージのように目の前に現れては消えていく川の流れのようなもので、目の前で強い光を放って注意を惹くけれど記憶にとどめる前に消え去っていきます。私は、写真を見るのが遅いんです。

 

 「Tree and Twenty Eight Post, Teshigkaga, Hokkaido」(マイケル・ケンナ)(42ページ)がお気に入り。クリーム色で描く雪と、28本の杭の列が絶妙。また、杭がここに何故あるのかも気になります。

 

 人それぞれに写真の好みはあるけれど、名作と呼ばれるものは見ておいて損はない。それが教養ってものだしね。実際、今月号はとても良い内容だ。