記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

絞り開放で撮るだけが全てではない

 絞り開放で写真を撮るのは難しい。

 

 最近のレンズは良く出来ていて、絞ったときの画質はどのレンズも素晴らしく甲乙つけがたい。そのため、レンズレビューなどは絞り開放での画質を評価することが殆ど。

 一方で、絞り開放で撮ることは、撮り手にも技量を要求する。つまり、上手な人しか、絞り開放を使いこなせない。

 

 絞りを開放にすると、被写界深度が浅くなり、被写体の一部にしかピントが合わない。例えば、焦点距離85mm f 1.8で1m先の被写体を撮るときの被写界深度は1cmも無い*1

 下の写真では、花の奥の花びらと手前の花びらにピントを合わせた写真。花の直径は4cmで、奥と手前の花びら両方にピントを合わせることはできない。

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上:花の奥の花びらにピントを合わせた、下:花の手前の花びらにピントを合わせた


 私は、下の写真(手前の花びらにピントを合わせた写真)が好きですが、皆さんはどうですか?これは、かなり微妙な判断でしょう。この微妙な判断を撮り手に求めるのが絞り開放の撮影ということになります。

 

 

 ところで、絞って撮ると花の手前から奥までピントを合わせることができます。f14まで絞るとしっかりとピントが合いました。下はその写真。

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絞りf14

 私は、この写真が一番好きです。花全体がくっきり写るのがやはり良い。

 

 F1.8のレンズであっても、被写体によってはf14まで絞ることが必要です。また、絞ると小絞りボケが出て解像感が下がるという話もありますが、絞り開放でピントを外すよりも絞った方が、よっぽど解像感があります。

 

 こんな風に考えると、開放F値の小さい明るいレンズは使いこなしが難しいなぁと感じます。選べる選択肢が多い分、撮り手の技量が求められます。

 

まとめ

 明るいレンズは高価だし、絞り開放で画質の良いレンズを手に入れるのは所有欲を満たす。

 また、絞ることは小絞りボケにより画質を下げるという話もあって、なかなか絞れない人もいる(私もその一人)。

 しかし、絞り開放で撮ることはピント位置がシビアで難しい。また、花の奥と手前でピントが合わない。そういうとき、ピント位置を選ぶ、あるいはしっかり絞ることが撮り手のスキルとして必要なのだと思う。

 

使用機材

FUJIFILM ミラーレスカメラ X-T2

Viltrox 85mm F1.8 II XF STM

*1:許容錯乱円直径20μmとしたとき