写真を撮り慣れてくると、ボケのある写真を撮りたくなります。ボケを使った写真表現は日本から世界に伝わったもので英語ではbokehと呼びます。
ところで、このボケの量はレンズのF値が小さいほど大きくなります。本エントリは、なぜF値が小さいとボケ量が大きくなるのか説明します。
そもそもボケのある写真って何が良いのでしょうか?ボケがあると主役を際立たせることができるのです。
下の写真は、紅葉したモミジのどこを見ていいのか分かりづらい。画面中にたくさんの葉がゴチャゴチャに写っているため、見る側の注意が散乱するのです。
一方、下の写真では背景の葉をボカしているため、見るべき場所がはっきりします。これがボケ表現です。
このように背景の葉がくっきり写ったりボケて写ったりするのは何故でしょう?それがF値の違いです。
下は写真を撮るときのカメラの図です。左から被写体があって、レンズ、撮像面(撮像素子)があります。被写体がすごく小さい点としましょう。被写体から出た光はレンズを通って撮像面で一点に集まります。
被写体が上下にずれても、レンズからの距離が同じであればそこから出た光は撮像面で一点に集まります。つまりピントが合います。
一方で被写体が左右に動いてレンズからの距離が変わると、そこから出た光は撮像面では一点に集まらず「ぼやーっと広がり」ます。これがボケです。
ここでF値とは、レンズの焦点距離をレンズの半径で割った値です。つまりF値が小さいとは、レンズの半径が大きいという意味です。レンズの半径が大きい(F値が小さい)と、より広がった光をレンズは集めるため、「ぼやーっとした広がり」がさらに広がることになります。これがF値の小さいレンズがボケる原理です。
このようにF値の小さいレンズはよくボケて写真表現の広がる高性能レンズです。一方でレンズが大きくなるため、(1)価格が高い、(2)レンズが大きい、(3)レンズが重い、という3つのデメリットがあります。そうは言っても子供の運動会や卒業式、旅行など一生に一度の記念には良いレンズで写真を撮りたいものです。
まとめ
ボケを使うと写真の主題を分かりやすく表現できる。そのためのボケの量はレンズのF値が小さいほど大きくなる。F値とはレンズの半径で焦点距離を割った値(焦点距離÷半径)。F値の小さいレンズとは半径の大きなレンズである。
おまけ:ボケを活かした写真