記憶と記録

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ミラーレス機開発をニコンが発表、今後APS-Cにも広がると勝手に予想

 ニコンがついにフルサイズのミラーレスカメラの開発を発表しました。

Nikon | ニュース | 報道資料:新次元の光学性能を追求した、新マウント採用のフルサイズミラーレスカメラとNIKKORレンズを開発

 

 ソニー富士フィルムキヤノンAPS-C以上のミラーレスを発売する中で、ニコンだけがその流れに抗っていました。ソニーα7 IIIが大いに売れたこともあって、ニコンもプロカメラマン用ミラーレスカメラに舵を切らざる得なかったということでしょう。2020年の東京オリンピックももう間近ですから、今年度中には製品を出しておきたいでしょう。そして来年度にミラーレスの第2世代を開発して、東京オリンピック前にそれを発売というのがマーケティング的な定石でしょう。

 2020年の東京オリンピックを販売ターゲットに置くと、レンズの開発も大忙しです。売れ筋である標準レンズだけでなく、スポーツ用の望遠レンズも開発しなければなりません。

 一方、シグマやタムロンのようなサードパーティレンズが出ないと、新しいマウントは盛り上がりません。彼らは、まずは新しいマウントのカメラがどれだけ売れるかを見ないと、開発計画を立てられません(カメラの販売台数が無いと、新レンズの販売数量の予想ができなくて開発の投資計画が立たない)。2020年の東京オリンピックにはサードパーティのレンズは間に合わないでしょうね。

 

 さて、ニコンの新しいフルサイズミラーレスとD850のようなフルサイズ一眼レフカメラの関係はどうなっていくのでしょうか?

 大きさ・重量の点で考えればどっちもどっちで大きく変わらないでしょう。一般にミラーレスカメラはミラーボックスが不要なため小型軽量のカメラになると言われますが、フルサイズの撮像素子を積むのであればミラーボックスの影響はわずかです。フルサイズのイメージサークルの大きさをカバーするレンズは大きく重くなりますし、消費電力の大きなミラーレスは大きなバッテリを積む必要があるためです。

 ファインダの違いはどういう影響をするでしょうか?ミラーレスはEVF(電子ビューファインダ)で一眼レフカメラはOVF(光学ビューファインダ)です。どちらも一長一短があります。EVFの良い所は便利なところです。ホワイトバランス、露出などの設定を反映した絵を撮影前に確認することができます。特に暗所での撮影では、増感した明るい絵を見ながら構図を決められるのは便利です。また瞳AFやピントのピーキング表示のような便利機能も作れます。一方でEVFの短所は、少しタイムラグがあること、ファインダを通した絵は肉眼で見た色とは異なることでしょう。OVFの長所短所はこの逆です。こんな風に考えると、しばらくはスポーツカメラマン向けにはミラーレス、風景カメラマン向けには一眼レフという住み分けになりそうです。

 

 ただし、ニコンがミラーレスマウントレンズと、新しいミラーレス用のマウントのレンズの2系統を開発・生産していくのは企業経営としては効率が悪い。Fマウントレンズの開発は減らしてサードパーティに任せていくと予想します。

 ニコンのFマウントは設計が古い。1959年から登場したニコンFマウントは、技術の発達ともに新機能をとりいれつつ互換性維持のため苦労してきた。今回新しいマウントを開発することは、過去のしがらみを一掃する意味でも意味がある。

 今回発表のあったミラーレス機はフルサイズですが、今後のAPS-Cにも対応できるようマウントは設計されていることでしょう。レンズ交換式カメラのボリュームゾーンAPS-Cですからね。APS-Cのカメラでミラーレスと一眼レフを比べると、ミラーレスの方が断然有利でしょう。ミラーボックスとペンタプリズムが無い分、低コストでつくることができますから。

 これまでニコンのカメラは画質的には入門機が上位機種(プロユース機)を超える下剋上が良く起きました。これは、入門機の製品サイクルが短く、上位機種の製品サイクルが長いことに起因します。ニコンは入門機であっても上位機種と同じ画像処理エンジンを載せます。またCMOS撮像素子は新しく開発されたものが性能が良いため、上位機種の後に開発された入門機の方が、上位機種よりも性能が良いということが起こります。

 APS-Cの入門機がミラーレスになって安価になり、画質も(APS-Cの)上位機種よりも良い、そんなことになったらと思うとワクワクしませんか?もちろん入門機種はシャッター幕の耐久性は低いし、防塵防滴ではないでしょう。それでもやっぱり欲しい思ってしまいます。

 

まとめ

 ニコンがフルサイズのミラーレス機の開発を発表しました。マウントも新しくなります。2020年の東京オリンピックマーケティングターゲットと置くと、ニコンの開発者は今頃大忙しでしょう。

 新しいマウントはフルサイズだけでなくAPS-Cもカバーする筈ですから、そのうちニコンの開発ロードマップにはAPS-C機も載ってくるでしょう。もっと後になってからのことだと思いますが。

 APS-Cのミラーレスが入門機として開発されたら、小さくて軽くて安くてかなり魅力的になりそうだと思ってます。楽しみです。

 

補足

 ニコンファンミーティングが9月から始まりますので、新しいミラーレス機のお披露目はそこで行われるでしょう。ソニーα9Iあるいはソニーα7 R IIIとぶつけてくると勝手に予想しています。

 

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