記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

一年間、写真ブログを書き続けて分かった、上手になるために大切なのは優れた練習方法だった

 一年前、毎日この写真ブログを更新し続けると決めました。写真が上手になりたかったからです。

 

どうして僕の写真は下手なのか? ちゃんと三分割構図してるのに!

 良い写真が撮りたくて、ネットの情報を漁りそれに従っていました。三分割構図だってちゃんと守って撮っていたのに、なんだか下手なんですよね。僕の写真。

 どうして僕の写真は下手なの?どうすれば上手くなるんだろう?そう思って始めたのが、一年間毎日この写真ブログを更新する計画です。365 day photo project, そう呼んでいます。

 この365 day photo projectで決めたルールは3つ。

  • 写真を載せたブログを毎日アップすること
  • 載せる写真は一枚にすること
  • なぜその写真を撮ったのかを書くこと、さらにどう撮ったのか、なぜその撮り方をしたのかを書くこと

この3つのルールのおかげで、写真を撮る良い練習になりました。

 

ネットには写真の撮る練習方法がない

 ノウハウやスキルには2種類あります。知識として知っていると役に立つものと、それに加えて練習の必要なものの2種類。

 知識として知っていれば良いものとして、例えば、お金の貯め方(家計簿をつけて無駄な出費を削る)、 会社の報告書の書き方(良いテンプレートをみつけてそれを埋める)、友人との上手な会話の仕方(相手の言葉を遮らない、相手を否定しない、褒める)。意思の強さは必要だけど、知っていればできますよね。

 一方、練習が必要なものとして、例えば、英会話、スポーツ、ファッションは、上達するには練習が必要です。

 これら練習の必要なスキル身に付けるとき、大事なことはなんでしょう?それは、良い練習方法を知ることです。同じだけ練習しても、上達する人としない人がいます。その差は、良い練習をしているかどうかです。

 ところが、写真に関しては、練習方法についての情報がネットにはありません。試しに”写真 上手くなりたい”等のキーワードでネット検索してみてください。「知っておきたい写真が劇的に上手になる9つの方法」のような、ものすごく初歩的なコツを集めた記事ばかり出てきます。これは、英会話で言うなら、”知らない単語が出てきたら訊き返そう”程度の情報です。

 写真を上手くなるには練習が必要なのに、ネットには練習方法に関する情報が無いのです。これがもし英語ならば、どの参考書が良いとか、あのスマホアプリが良いといった勉強方法の情報がたくさんあります。写真が上手くなるための練習方法の研究が進んでいないのでしょうね。

 

写真の練習方法

 写真の難しさは、二種類あると思っています。

  • 自分が素晴らしいと思った光景を、写真に十分に写せないこと(綺麗な海を見て、カメラで撮ったら平凡な写真になったということはありませんか?僕はしょっちゅうあります)
  • 良いと思った写真が、他人に伝わりずらいこと(他人から、子供の写真を可愛いでしょう?って見せられるやつです。撮った人の思い入れは他人には伝わらないんですよね)

 

 一つ目の難しさに対しては、自分が撮りたいものをはっきりさせることがポイントです。”写真は引き算”とよく言われるのはこれです。写真で表現できることはとても少ないので、あれもこれもと盛り込まないのが良いわけです。綺麗な海を見たとき、海の色を良いと思ったのか、海の広さを良いと思ったのか、海の波の形を良いと思ったのか、どれか一つに絞って、それを写真に撮ります。

 この一つに絞るのが難しい。綺麗・すごい・かっこいい等を分解していって、分解された要素のどれが一番かを決めるのは、練習が必要です(僕は、この分解する作業が下手で粗いんです)。

 

 二つ目の難しさに対しては、写真を見る人間が、その写真をどう感じるかを想定する必要があります。個々人の趣味があるので、100%想定することはできません。ただ、写真を見る人の視線を誘導するテクニックはありますので、ある程度の想定はできます。

 視線を誘導するために、撮影現場にある石や植物などを利用します。これらをどう組み合わせるかについては練習が必要です。

 

 これらの二つの難しさに対して、写真を言語化することはとても良い練習になりました。

 なぜこの写真を撮ったのか? それは海が綺麗で、特に海が大きく広がる様子が素晴らしいと思ったから。どう撮ったのか?広がりを表すために、大きさの比較対象として小舟を一緒に写した。なぜその撮り方をしたのか?大きさの比較対象になりそうなものは、小舟・人・建物があったけど、小舟が一番海らしい印象を与えるから。こんな具合に言語化していきます。

 言語化するのは写真を撮るときだけでなく、写真を見る時も良い練習になりました。出来上がった写真は、狙い通りに海の広さを感じるか?もっと小舟を暗く写した方が気が散らずに良かったのでは?こんな具合に言語化していきます。

 言語化していると、上手くいったテクニックが自分の中に蓄積されて、次回の撮影で生きてきます。こうやってどんどん蓄積を増やすことが写真の練習です。

 

役に立った本

 365 day photo projectを始めた当初、写真の言語化にはとても苦労しました。写真の見方や考え方を知らないので当然です。練習するにつれて、言語化できるようになっていきました。このとき、役に立った書籍を紹介しておきます。

 これらの本は、この一年間繰り返し読んだ本です。読むと写真の練習が上手にできるようになって、練習を続けて僕のスキルが上がると本の内容が一段と深く分かるようになり、何度も読みました。

 

  一冊目はプロの撮り方シリーズ「構図の法則」。写真を見た人間がそれをどう認識するか、ゲシュタルト心理学に基づいて解説しています。視線を誘導するテクニック、写真で奥行きや広さを表現するテクニックが学べます。

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 構図の法則

  • 作者: リチャード・ガーベイ=ウィリアムズ,ナショナルジオグラフィック,関利枝子,武田正紀
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2017/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

 

 二冊目は『「いい写真」はどうすれば撮れるか?』。なぜそれを写真に撮ったのか?どう撮ったのか?について深く考えさせられる本です。テクニック本ではなく、写真に対する考え方について学べる本です。

「いい写真」はどうすれば撮れるのか? ~プロが機材やテクニック以前に考えること

「いい写真」はどうすれば撮れるのか? ~プロが機材やテクニック以前に考えること

 

 

 三冊目はソール・ライターの写真集。うまい人の写真を見て真似る(習作というやつです)のはとても良い練習になります。ソール・ライターは、画家出身だけあって構図がとても上手い。彼は家の近所で写真を撮り続けたそうで、美しいものは身近なところにあることを教えられます。

All about Saul Leiter  ソール・ライターのすべて

All about Saul Leiter ソール・ライターのすべて

 

 

 四冊目は再びプロの撮り方シリーズ。写真を撮るときに構図を探すための練習方法が記されています。僕は、自分の写真がマンネリになってきたら読み返して、この本の中に書かれている練習方法を試しています。

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 創造力を極める

ナショナル ジオグラフィック プロの撮り方 創造力を極める

  • 作者: ブライアン・ピーターソン,ナショナルジオグラフィック,デービッド・ハルバースタム(序文),関利枝子,武田正紀
  • 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
  • 発売日: 2015/09/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まとめ

 ネットの情報を漁って写真を撮ってきたけど、うまくならない。それで、365 day photo projectを行いました。

 一年間、写真ブログを書き続けて、ネットには写真の練習方法についての情報が無いことに気づきました。写真のような練習の必要なスキルにとって、練習方法の優劣はとても大切です。

 もしあなたが、練習方法についてあまり考えたことが無いなら、一度考えてみてはいかがでしょうか?

 私には、写真の言語化がとても役に立ちました。最初のうちは言語化に苦労しますが、続けてみると効果があります。そのために役立つ本もあります。