Xマウント(富士フィルム)の標準ズームレンズが欲しくて買うべきレンズを探しています。色々な製品がありますが、その中でXF16-80mmF4 R OIS WRが良さそうに思い、実際に使って試してみました。本記事は、その感想(レビュー)です。
はじめに
私は、富士フィルムのカメラX-T2と単焦点レンズXF35mm F1.4 Rを2年間使っており、これまで7500枚を撮りました。私は単焦点レンズが好きで、他の焦点距離の単焦点レンズも持っていますが、やはり単焦点レンズだけでは不便な時があります。例えば、旅行に行くときは持っていくレンズを一本だけにし、荷物を軽くしたいと思う時があります。そのため、ズームレンズを探しています。
スペック確認
まずは、Xマウントの標準ズームをまとめると、表のようになります*1。
レンズ | メーカー | 焦点距離 | F値 | 重量 | 手振れ補正 | 防塵防滴 | 最短撮影距離 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ | 富士フィルム | 15-45mm | F3.5-5.6 | 135g |
〇
|
×
|
13cm |
XC16-50mmF3.5-5.6 OIS II | 富士フィルム | 16-50mm | F3.5-5.6 | 195g |
〇
|
×
|
15cm |
XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS | 富士フィルム | 18-55mm | F2.8-4 | 310g |
〇
|
×
|
30cm |
XF16-80mmF4 R OIS WR | 富士フィルム | 16-80mm | F4 | 440g |
〇
|
〇
|
35cm |
XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR | 富士フィルム | 18-135mm | F3.5-5.6 | 490g |
〇
|
〇
|
45cm |
XF16-55mmF2.8 R LM WR | 富士フィルム | 16-55mm | F2.8 | 655g |
×
|
〇
|
30cm |
ズームレンズには焦点距離を変えたときに開放F値が変わるものと変わらないものがありますが、私は変わらないものが好きです。焦点距離を変えたときにF値が変わると、マニュアル設定で撮るときに設定が変わって面倒なためです。そうなると、XF16-80mmF4 R OIS WRとXF16-55mmF2.8 R LM WRの二つが候補となります。
次に重量を見ると、XF16-80mmF4 R OIS WRの方が軽いことが分かります(軽さは正義!)。このようにして、XF16-80mmF4 R OIS WRを第一候補として選びました。
XF16-80mmF4 R OIS WRの性能(測定テスト評価)
XF16-80mmF4 R OIS WRの性能をLensTipsの測定テストの結果で確認しましょう。LensTipsでは以下のように記されています。
- 手振れ補正は優秀。
- 解像度は、焦点距離80mmの時の画面端は甘い。焦点距離16㎜でf5.6のとき解像度は良い(もっと詳しく書くと、焦点距離16mm-50mmの時は画面の隅々まで解像度は高い。ただし、焦点距離80mmの時の画面端は甘い)
- 撮影画像の歪は大きいが、ソフトウエアで上手に補正される。
- 周辺光量落ちは、焦点距離16mmの絞り開放時には大きいが、ソフトウエアで上手に補正される。
- オートフォーカスは、焦点距離80mmの時にコントラストの低い被写体の場合は遅いが、焦点距離16mmの時は速い。
撮影写真
さて、XF16-80mmF4 R OIS WRを使って実際に写真を撮ってみました。カメラはX-T2を使用しました。
上の写真で分かるように、焦点距離80mmのときの画面中央はとてもシャープです。
焦点距離16mmは、このレンズの得意な焦点距離です。非常に綺麗に写ります。
撮影位置を変えずに、焦点距離を16mmから80mmにズームして撮ったのが上の写真です。かなり大きく写せます。16mmから80mmの5倍ズームはやっぱり便利です。
手振れ補正は良く効きます。上の写真は、シャッター速度 1/6secで撮っていますが、それでもブレません。これには驚きました。
焦点距離16mmだと広々と写せて、気分が上がります。
感想
Xマウントの標準ズームレンズが欲しくて、XF16-80mmF4 R OIS WRを使ってみました。
画質的に一番甘いと言われる、焦点距離80mmの画面端部分も実写では問題ありません。風景写真などで三脚を立てて撮るような画質を追い込む人には物足りないのかもしれないけれど、私の撮り方では十分(画面の端に被写体を置くことはないから)。
16mmから80mmの5倍ズームは、とても便利で、そのおかげで構図の自由度も上がります。やはり、広角端と望遠端の二つを使って、寄りと引きの2パターンを撮っておくと構図のバリエーションが増えます。
周辺光量落ちは、全く気になりませんでした。これも、風景を撮る人は気にするのかな?スナップ写真には全く問題ありません。
手振れ補正は、良く効きます。シャッター速度 1/6秒でもブレません(また、今回撮った写真で、手振れ写真はゼロでした)。
オートフォーカスは静かです。手振れ補正も良く効くので、動画を撮る方にも適しています。
このレンズの重さ440gで、私には許容範囲内です。X-T2の重さが457gですから、合わせると900gになります。気軽にスナップ撮影するには1Kg以下が良いと思っており、その範囲に収まります。
また、レンズフードの質は非常に良いです。装着時にカチっと止まり外れません。いままで私の見たレンズフードの中でで最も質が良いです。
まとめると、XF16-80mmF4 R OIS WRは、旅行レンズやスナップ撮影に使えるレンズです。画質も申し分ありません(焦点距離80mmの画面の端っこは、カミソリシャープとはいかないようですが、問題なし)。
この記事が、読んでいる方の参考になれば嬉しいです。
追記:歪みについて
このレンズを語るうえで、歪みについて記しておく必要があるでしょう。
上記のLensTipsでも述べられている通り、このレンズは歪み(歪曲収差)がそれなりにあります。最近のレンズは、歪みをソフトウエアで補正すること前提に設計されている(その分、レンズ重量を軽くできます)のですが、特殊な工夫をすると歪みを見ることができます。
下は、焦点距離80mmで撮った写真で、上はJPEG撮って出し、下はRAWファイルを特殊な方法でソフトウエア補正をキャンセルしたもの*2。糸巻型に歪んでいるのが分かります。歪み具合の参考にして頂ければと思います。
追記2:XF16-55mmF2.8 R LM WR との比較
XF16-80mmF4 R OIS WRを考えている人は、XF 16-55㎜ F2.8 R LM WRと比較したくなりますよね。
そこで、まずはスペック的なことを比べてみましょう。
- 広角側の焦点距離は同じ
- 望遠側の焦点距離は、XF16-80mmF4 R OIS WRの方が1.5倍長くて良い
- レンズの明るさは、XF16-80mmF4 R OIS WRの方が1段分暗くて悪い
- 重さは、XF16-80mmF4 R OIS WRの方が1.6倍軽くて良い
- 手振れ補正は、XF16-80mmF4 R OIS WRにだけ付いているので良い
- 防塵防滴である点は同じ
分かりづらいので表にまとめると、
XF16-80mmF4 R OIS WR | XF16-55mmF2.8 R LM WR | |
---|---|---|
広角側の焦点距離 |
〇
|
〇
|
望遠側の焦点距離 |
〇
|
×
|
レンズの明るさ |
×
|
〇
|
重量 |
〇
|
×
|
手振れ補正 |
〇
|
×
|
防塵防滴性 |
〇
|
〇
|
こうやって見ると、レンズの明るさ以外の点で XF16-80mmF4 R OIS WRの方が勝っていることが分かります。
次に写りについて比べます。LensTipsの測定によれば、焦点距離16-50mmの範囲に限れば、同等あるいはXF16-80mmF4 R OIS WRの方が上です(XF16-80mmF4 R OIS WRは望遠端の画面周辺部が弱点ですが、焦点距離が50mm以下では優秀です)。
特に、色収差と、画面周辺部部の解像度はXF16-80mmF4 R OIS WRの方が上です。
つまり、レンズの明るさ以外は、画質も含めてXF16-80mmF4 R OIS WRの方が上です。
最後に、XF 16-55㎜ F2.8 R LM WRで撮った写真を載せておきます。カメラはX-Pro2です。こちらのレンズも良い写真が撮れます。
追記3:シグマ18-50mm F2.8 DC DN | Contemporary発売、その実力
ついにシグマから18-50mm F2.8のズームレンズが発売されました。これは、なかなか凄いレンズです。
- 小さく・軽い(重さはなんと290g)
- オートフォーカスは速くて・静か
- グッと寄って撮れて便利
画質にも不満はありません。
詳しくは別記事に書いておきます。
【富士にシグマが良く似合う、新製品貸出し体験会 2023 Spring in 東京に行ってきた - 記憶と記録 (hatenablog.com)】