記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

2,000枚撮って振り返る Fujifilm XF35mm F1.4 Rの感想

 私は、普段スナップを撮っています。最近は、富士フィルムX-T2とXF35mm F1.4Rの組み合わせで撮ることが多い。調べてみると、この組み合わせで2,000枚撮っており、そろそろこのレンズの感想をまとめてみようと思います。

 

XF35mm F1.4Rはどんなレンズか?

 XF35mm F1.4Rは、発売日が2012年2月と比較的新しいレンズです。例えば、ニコンのレンズは西暦2000年以前のものもたくさんあります。富士フィルムのXマウントが開発されたのは最近であるため、富士フィルムのミラーレス用レンズは新しいものばかりです。

 このレンズの特徴は、何と言っても全群繰り出し方式であること。これは、ピントを合わせる際にすべてのレンズを一体で動かすもの。遠い被写体も近い被写体も同じように最高の画質で写すことができます。しかし、その対価として、フォーカス速度が遅くなります。フォーカス時に全てのレンズを動かす必要があり、ピント合わせ用の駆動モーターに負担がかかるためです。このレンズは6群8枚構成ですから、フォーカス時に8枚のレンズをモータで動かしています。

 

フォーカスが遅いって本当?

 ネットでこのレンズのレビューを調べると、”写りは良いが、フォーカスが遅い”という情報が沢山出てきます。こういうレビューを見ると、“フォーカスが遅いのは困るなぁ”と思う方が殆どでしょう。しかし、さらに踏み込んで考えると、フォーカスの遅さとはどれほど遅いのか?困るほど遅いのか?という点が大切です。

 実は、スナップを撮る私の使い方でフォーカス速度に困ったことはありません。

 例えば、下の写真ではエスカレーターに乗って動きながら撮影しましたが、この程度の動きは全然問題ありません。また、歩いている人にフォーカスを合わせるのも楽勝です。走っている人にはどうだろう?試したことが無いので分かりません、スナップ撮影ですから(笑)。

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エスカレーターで動きながら撮影

 

防塵防滴で無いけど、大丈夫?

 このレンズは防塵防滴ではありません。この点を気にする人もいるようです。しかし私は全然気にしていません。このレンズに限らず、いままで使ってきたレンズはすべて防塵防滴ではありませんが、壊れたことはありません。

 実際、このレンズを海水浴に持っていって、ビーチの砂塵の舞う中で使ったり波打ち際で水しぶきを受けながら使ったりしましたが、今も元気に使えています。 個体差はあるとは思いますが、防塵防滴の必要性を感じません。

 

歪みは大きいのか?

 どんなレンズにも歪曲収差が、多かれ少なかれあります。直線が樽型や糸巻き型に歪むやつです。このレンズの収差はどうでしょう?分かりやすいように縦横の線のある下の写真を、見てください。どうです?歪みを感じますか?

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歪みあります?

 若干樽型歪に思います。Lightroomのゆがみ補正を+5するとまっすぐになる程度の僅かな歪みです。実はこの記事を書くまで歪みを気にしたことはありませんでした(笑)。

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歪みを補正。違いは分かります?


絞り開放の周辺画質:画像四隅は流れるか?

 明るいレンズは、絞り開放で撮ると画像の四隅が流れるように写ります。だから、カメラ雑誌のレンズレビューではよく「画像周辺も流れずシャープな描写」のような記述があります。

  このレンズの四隅はどうかというと、全然気にしたことがありません。これまで撮った2,000枚の中で絞り開放で撮った写真をあらためて見返しましたが、しっかり描写されています。超お高いレンズと同じシーンを撮り比べないと分からない程度だと思います。

  もっと言えば、四隅に主題となる被写体を置くことが構図的に無いので、四隅の流れを心配すること自体、あまり意味のあることでは無いでしょう。

 

絞り開放の周辺画質:周辺減光はあるか?

  明るいレンズは、絞り開放で撮ると画像の四隅が暗く写ります。周辺減光というやつです。

 このレンズの周辺減光はどうでしょう? 私は気になったことがありません。実際のところ、写真を仕上げるためのレタッチで(主題に視線を誘導するため)周辺減光を後乗せするくらいです。

 

絞り開放でフリンジは出るか?

  明るいレンズは、絞り開放で逆光気味に撮ると、パープルフリンジが出ることがあります。

 このレンズはどうでしょう?これまで撮ってきた2,000枚の中で1枚だけ、パープルフリンジの出たことがあります。Lightroomで消しましたけどね(笑)。

  狙えば、このレンズでパープルフリンジを出すことができると思います。絞り開放にして、金属光沢のある被写体を逆光で撮ればフリンジは出るでしょう。ただ、それが困るかと言われると、そんな構図を作ることがほぼ無い(1/2,000の確率)ので、気にしていません。逆光だと、レフ板かフラッシュを使わないと被写体が暗く写りますから、元々そういう構図で撮らないのです。

 

その他

  絞り羽根が7枚のせいか、点光源をぼかした時、玉ボケにならず少し角のある形にボケます。まん丸なボケを作りたいときは、このレンズは使わない方が良いでしょう。

 

最大の長所:軽さ

  これまで厳しい目でレンズを評価してきたため、良いところに触れていませんでした。そこで、長所にも触れておきます。

  このレンズの最大の長所は軽いこと。重量は200gを切る187g。F1.4の明るさでオートフォーカスの効くレンズの中で1番軽い。マイクロフォーサーズより軽いという驚異的なレンズです。

  軽さは正義。重量は、レンズの使用頻度に直結します。もしこのレンズが重ければ、私は2,000枚も写真を撮っていないでしょう。レンズは決して安い買い物では無いので、軽いレンズに勝るものはありません。

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軽いレンズは、お散歩のお供にピッタリ

 

まとめ

  XF35mm F1.4Rを使って2,000枚の写真を撮りました。その経験で気づいたことを書きました。スナップ用途の私は、フォーカス速度や画質に満足しています。

  画質の良いことに加えて、このレンズは重量の軽いことが素晴らしい。軽さは正義です。これは、200gを切る187gとマイクロフォーサーズより軽い驚異のレンズです。だからこそ、持ち歩き機会が増え、2,000枚もの写真を撮ることができました。

FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R

FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R