鉄道の写真ばかり撮っている人がいる。中井精也さんが典型的気かな。富士山ばかり撮っている人がいる。絵画で言えば、奈良美智さんのように同じ少女の絵ばかり描いている人がいる。 草間彌生さんのように水玉ばかり描いている人もいる。
テーマを持って写真を撮るというのはこういう人のことだと思う。
被写体が決まっていて、その被写体の魅力を十二分に引き出す構図や撮影パラメータを模索している。
一方で、被写体を決めずに日常の中の美しい瞬間を探す人もいる。内田ユキオさんが典型的。
よく知られたテクニックだけど、今日は黄色を探すと決めて街中を歩くと、多くの発見がある。こんなところに黄色が使われていたのかと気づかされる。意識しないと見えない風景がある、そういうことだ。
カメラの設定をモノクロにして、モノクロに適した一瞬を求めて街中を歩き回る。あるいは、カメラの設定をビビッドトーンに決めて、それに合わせたシーンを探す。そういう撮影スタイルもある。
要約してしまえば、被写体が決まっていてカメラ設定を最適化していくスタイルと、カメラ設定をまず決めてそれに合った被写体を探すスタイル、二つある。
新しく富士フィルムのX-T2を手に入れて、これに気づいた。新しい刺激で新しい視点を得て、新しい理解を得る。新しいものに挑戦したときのご褒美だ。X-T2を手に入れて調べてみると、これが独特の操作体形をしている。その根底にある思想は、フィルムだ。撮りに出かける前にフィルムを決める。ISO100のフィルムを入れたら、その日はISO100でしか撮らない。富士フィルムの思想の根底にはそういうスタイルがある気がする。
それが良い悪いではなく、新しいスタイルに自分を合わせようとして何を発見するかが大事。最終的に自分に合う・合わないは結果だ。その結果をみつけたことが大事。そうやって自分のスタイルを探していく。
カメラを新たに手に入れたおかげで、普段撮らないシーンを撮れました。上の写真は明度の差のあるシーンを探していてみつけたシーン。お父さんが腰かけている場所の水平な面と垂直な面で明度が違うなぁと思いながらこれをみつけました。電車の青いラインが写真の真ん中を横切っていてカッコいい。お父さんが脱いだ靴が、この写真の一番好きな部分です。
カメラを新しくすると、より上手に撮れるかもしれない。それ以上に新しいシーンを撮れるようになるかもしれない。
使用機材
FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R