アサヒカメラの記事によると、プロカメラマンの好きなレンズは二つに分かれるそうだ。一つは見たままに撮れるレンズ、もう一つは雰囲気のある写りのレンズ。見たままに撮れるレンズとは、解像度が高く歪みの無い写りをするもの。雰囲気のある写りのレンズとは、四隅が流れるとか像が歪むとか見た目とは違うクセのあるレンズ。
クセのあるレンズと言って浮かぶのは、オールドレンズだ。ぐるぐるボケが出たり、フレアも盛大に出たり、解像度も低い。そのクセのおかげで、肉眼では見ることのできない新しい絵を写すことができる。リアリティを下げた幻想度の高い写真を撮ることができる。
クセと言えば、フィルム写真もクセの強い写りをする。解像度は低いし、高感度にも弱い、色再現性も高くない。このクセのおかげで、どこかほっこりする懐かしい感じの写真になる。
クセとは個性だ。そのレンズやフィルムのクセを分かって、それに合った撮り方をすると、個性的な写真になる。このとき「クセに合った撮り方」が大事だ。絞りの値とかそういうパラメータだけじゃなくて、被写体選びや光選びも大事。ノスタルジックな写りをするフィルムカメラで近未来を感じる被写体を撮るのはミスマッチだ。最新のファッションを撮るには、フィルムでなくデジタルだろう。
個性に合った被写体選びをするには、その個性を意識せざる得ない。使っているのはフワフワ写るレンズなのかシャープに写るレンズなのか、カメラの設定は彩度が高いのか低いのか、コントラストは高いのか低いのかなど、仕上がりのイメージをしながら被写体を探すとやりやすい。
つまり、写真の仕上がりをよくイメージして被写体を探しましょうということになる。なかなかそうはうまくできないんだけどね。
ただ、歪みのあること解像度の低いことが個性的な良い写真を撮る条件になり得るというのは愉快だよね。