記憶と記録

見えたことは事実ではなく自分というフィルタを通した記憶であり、さらに記憶は記録で上書きされる。写真とカメラ関係のブログです。

写真撮りのためのデータバックアップの方法

  パソコンが壊れたので買い替えました。その際に、データバックアップについて考えたので、メモを残します。誰かの役に立つと嬉しい。

 

モチベーション

 私は写真撮りで、多くの写真データを持っています。どれも他愛無い写真ですが、無くなると寂しい。データ量は1TBを軽く超えるため、データバックアップにお金も手間もかかる。そのため、データバックアップについてしっかり考えて、お金と手間を少なくしたい。

 データバックアップに関する情報はネットにたくさん載っている、例えば3-2-1戦略など、ただしどれもビジネス用途向けでホームユースには向かない。そのため、アマチュア写真撮りに適したバックアップ方法について、改めて考える価値はあろう。

 

基本事項のおさらい

 信頼性工学で使われるFMEA( Failure Mode and Effect Analysis)をイメージして故障モードを考える。ざっと挙げれば

  • メディア障害
    • HDDの故障
    • HDDのデータ腐敗(熱・外部磁気によるビット反転)
    • SSDの故障
    • SSDのデータ腐敗(熱・電荷自然放電によるビット反転)
  • 装置故障(パソコン、NAS、ハードディスクケースなどの部品劣化による故障)
  • クラウドストレージ障害
  • 災害
    • 火事
    • 地震
    • 津波
  • ウィルス感染
  • 人為的操作ミス

 HDDは結構壊れるもので、年間10%程度壊れるものもある(付録参照)。また、パソコンから外して稼働させなくてもHDDのデータは熱や外部磁気により壊れる。

 SSDは使用していると壊れる。データ書き込み時に高い電圧をビットセルにかけるためだ。寿命の目安として5年と言われている。また、パソコンから外して稼働させなくてもSSDのデータは熱や電荷自然放電により壊れる。

 DVDに書いたデータも長期保管していれば壊れる。

 

 装置故障は部品劣化により起こる。故障しやすい部品は電源モジュール。また電解コンデンサーもドライアップにより故障する。エンタープライズ用機器(会社で使う物)は高価だが長持ちする。良い部品を使っているためだ。

 

 クラウドに置いたデータも無くなる時がある。3つほど例を挙げておく。

 

 災害では、複数機器す同時に故障することに注意が必要だ。火事が起これば、家に置いてあるすべてが故障するし、例えば東北震災では東北地方一帯が被害を受けた。

 

 ウィルス感染・人為的操作ミスでは、RAIDで保存したデータが丸ごとダメになる。またクラウド上のデータもダメになる。

 

3-2-1戦略おさらい

 データバックアップの基本的な考え方は3-2-1戦略と呼ばれるもので、これはデータは3つ持ち(オリジナルデータ、コピーデータ1、コピーデータ2)、それぞれ別の場所に保存し、そのうち一つは地理的な保存場所を変える(災害対策)というもの。

 ここでRAIDについて注意。RAIDは複数のHDDにデータを分散させて一つのHDDが故障してもデータを残す方法だが、ウィルス感染や人為的操作ミスが起こると、丸ごとデータが無くなる。このため、RAID装置は過度に信頼しないほうが良い。

 同様に、コピーデータ作成の際にミラーリングでなくインクリメンタルバックアップを取ることが必要になる(ウィルス感染・人為的操作ミス対策)。

 

 3つのデータをどこに保存し、データコピーのモード(バックアップモード)をどう選ぶかで、データの信頼性とコストが決まる。

 アマチュア写真撮りにとってどうするのが最適だろうか?

 

コスト比較

 HDDとクラウドのコストを調べてみた。

  • HDDは大体1TBあたり6000円(故障率の低いWestern Digitalの容量1TBの値段(価格コム調べ))
  • クラウドは大体 1TBあたり1300円(月あたり)

 

HDDの寿命を5年と考えると、クラウドはHDDより13倍ほど高価(1300円*5年*12か月÷6000円)。インクリメンタルバックアップを置く場所にクラウドは使えない。

 

手間比較

 データを無くしたときの復旧には案外手間がかかる。この手間をざっくりと比較すると

  • PC内の別HDD:手間(少)
  • ホームネット内のNAS:手間(中)
  • クラウド:手間(大)

 通信速度が遅いほど手間が大きいとしている。

 

私のバックアップ方法

 以上のことから、私が決めたバックアップ方法を記す。戦略として

  • 災害によるデータ消失はあきらめる(手段がクラウドしかないが、クラウドは高価なため)
  • インクリメンタルバックアップを含める(ウィルス感染・人為的操作ミスの対策)
  • データは稼働している機器に保存する(取り外したHDDに保存していると、消失したことに気づけない)

 

 具体的には、

  • オリジナルデータはパソコンのHDDに置く
  • パソコン上のオリジナルデータをNASにバックアップしておく(コピーデータ1)
    • NASには2台のHDDを備え、HDD1からHDD2へインクリメンタルバックアップを取る(コピーデータ1をインクリメンタルバックアップ)
  • NAS上のデータを、NASのUSBに取り付けた外付けHDDにバックアップしておく(コピーデータ2)*1

おまけとして、パソコン内のオリジナルデータは、パソコン内の別HDDにバックアップを取る(HDD故障時のデータリストアの手間が小さいため)。

 

まとめ

 PCを新しくしたのを機に、データバックアップについてまとめた。

 ネットの情報は企業データのバックアップ方法について書いてあるものが多く、アマチュア写真撮りの私はそれほどのコストをかけることができない。アマチュアであっても大切なことは、(1)インクリメンタルバックアップを行う、(2)データが消えた・壊れたことに気づけるようにしておくことだ。

 

付録:HDD故障率

 

HDD故障率(2022年第3クオータ)
(AFRとは年間故障率(Backblaze Drive Stats for Q3 2022より))

*1:USB外付けHDDを選んだのはリストアが簡単なため