富士フィルムのカメラ にはフィルムシミュレーションという名前で色調のコントロール機能がある。ニコンやキヤノンにも同種の機能はあるが、富士フィルムの色調コントロールは優秀だと言われている。
ただフィルムシミュレーションをどう使うかは難しい。フィルムシミュレーションの選択はセンスだから。Fujikina 2019で内田ユキオさんは、”トーンと構図は一体である”と言っていました。主題があり、構図を決める。そのときイメージしている色によって構図が変わる。
下はフィルムシミュレーションで色を変えて撮った東京 勝鬨の風景。空の色が上は青く、下は濁った色に撮れた。
写真の意図が爽やかさであれば上の色を私は選ぶ。そのときの構図は白い雲が浮べて、鮮やかな色合いを備えたビルを入れる。また、川は入れずに構図を作る。一方、写真の意図が都会的な気だるさであれば、下の色を選ぶ。川が濁っていること、ビルが無機質であること等から、この構図には下の色が合っている。
富士フィルムのカメラを使っていると、色に対して敏感になる。人は色に影響を受けるが、それを意識しない。
インスタグラムに投稿される写真は、彩度高めで、コントラスト高めが多い。スマートフォンのカメラの設定がそうなっているというのもあるが、キラキラした生活を発信したいという思いが投稿時にそういった写真を無意識に選ばせるのだろう。
富士フィルムのフィルムシミュレーションで遊んでいると、同じ構図でも色によって印象がずいぶん違うことが分かる。自分の意図に応じて適した色を選ぶモチベーションになる。富士フィルムのカメラがフォトグラファーを育てるとも言えそうだ。
撮影機材